なぜ私が情報発信を始めたのか。そして、このブログをどう使ってほしいのか

2025年12月に入り、令和7年度補正予算の成立をきっかけに、noteとブログで連日投稿してきました。短期間で集中して書いたのは、制度の速報性が高かったから、という理由だけではありません。

もっと根本に、「いまこの局面で、経営者が判断を誤ると取り返しがつかなくなるテーマが増えている」という危機感があります。

私はもともと、情報発信が得意なタイプではありませんでした。むしろ、目の前の事業者に地道に伴走し、必要なときに必要な制度を使い、経営の意思決定が前に進むよう支える。それが自分の役割だと考えてきました。現場に12年近く身を置いてきたので、派手な言葉より、最後は数字と資金繰りと人の動きが支配することもよく分かっていますので、なおさら情報を発信することは控えていました。

それでも発信を始めたのは、環境変化の速度が、現場の耐久力を超え始めたからです。コロナ、物価高、戦争、円安、サプライチェーン、人手不足、エネルギーコスト、DX、AI、・・・。

1つでも重いのに、複数が同時に起き、経営判断の前提が短期間で書き換わります。その結果、真面目に経営している企業ほど「何から手を付ければよいか分からない」「投資すべきか守るべきか判断できない」という状態に陥りやすくなりました。

そして、そこに追い打ちをかけるように、インターネット上の情報が、経営判断を混乱させる場面が増えました。特に補助金は典型です。

「簡単に受け取れる」「スマホで誰でも申請できる」「とりあえず出せば通る」「最大〇〇〇万円といった言葉が拡散され、事業者が誤解し、その誤解が投資判断や資金繰り、社内の期待値管理を壊す。私は、その後始末に関わる場面を何度も見てきました。

ここで誤解してほしくないのは、補助金そのものが悪いわけではないということです。補助金は、うまく使えば強い追い風になります。

ただし、制度は「経営の代わり」にはなりません。制度の狙いと要件、採択後の責任(報告、証憑、成果説明)まで含めて理解し、事業計画と資金計画に落とし込んで初めて機能します。つまり、補助金は手段であり、主役は経営者の意思決定と実行です。

このブログは、その「意思決定と実行」を支えるために作りました。noteのように視座や思考を深掘りするよりも、ブログは徹底して「実務で使える」形に寄せます。

1.このブログで提供したいこと(何を目指すか)

このブログの目的は、制度や環境変化を、経営者が実際に使える判断材料に落とし、次の行動につなげることです。具体的には次の3つを重視します。

1つ目は、判断の材料を揃えることです。経営判断は、感情や雰囲気で行うほど危険になります。必要な数字、検討すべき論点、確認すべき一次情報の当たり方を提示します。

2つ目は、準備の段取りを示すことです。制度活用にしても、資金調達にしても、新事業にしても、「やる」と決めた後の段取りで躓く企業が多いです。社内での進め方、担当の置き方、必要書類の整備、落とし穴の先回りなど、実務上の詰まりどころを中心に書きます。

3つ目は、採択後・実行後まで含めた現実を扱うことです。採択されることがゴールではありません。投資が回収できるか、資金繰りが持つか、現場が回るか、賃上げや人員計画と整合しているか。そこまで含めて「実務として成立するか」を重視します。

2.このブログでやらないこと(補助金屋にならないための線引き)

一方で、あえて「やらないこと」も明確にします。ここが曖昧になると、発信が補助金屋化しますので。

  • 「必ず採択されます」「誰でも簡単」といった煽りはしません
  • 裏技や抜け道、丸投げ前提の話は扱いません
  • 申請手順の細かい画面操作や、テンプレのコピペで量産する話は中心にしません
  • 一次情報(公募要領や公式発表)に反する断定はしません
  • 制度を主役にせず、あくまで経営を主役に置きます

これは価値観の問題ではなく、実務上の事故を減らすためです。補助金は税金であり、ルールがあります。適当にやれば不採択で終わるだけではなく、投資や資金繰り、信用に影響します。だからこそ、安易な話はしません。

2.noteとブログの棲み分け(読者の使い方)

私はnoteとブログを意図的に分けています。

noteは「視野・視座・思考」を中心に書きます。政策の狙い、環境変化の読み方、経営者が持つべき判断軸など、考え方の骨格を整理する場です。

ブログは「実務で使える解像度」を中心に書きます。チェック項目、社内の進め方、準備の順番、資金繰りの見方、採択後に詰まるポイント、noteで書いた視座や社会、歴史等の考察から現場では何を活かすか、など、現場でそのまま使える形に落とします。

両方に共通するのは、厳しい現状や耳の痛いテーマでも、批判や指摘をしたいのではなく、「その状況の中でどう考え、どう動くか」に重きを置くことです。現実が厳しいなら、厳しいなりの戦い方があります。そこを一緒に考えるためのメディアにしたいと考えています。

3.扱うテーマは補助金だけではありません(むしろ、ここから広げます)

ここも改めて明言します。私は補助金だけを書き続けるつもりはありません。補助金は、政策の一部分であり、経営の手段の1つにすぎないからです。

今後は、次のようなテーマも積極的に扱っていきます。むしろ、このような様々なテーマをマクロ・ミクロの視点から俯瞰的・横断的に見ていくことが、私の強みです。

  • 経営計画の作り方(事業構造、KPI、撤退基準、投資回収の考え方)
  • 資金調達と資金繰り(金融機関対応、返済余力、つなぎ資金、資金繰り表)
  • 新事業開発(市場仮説、顧客検証、差別化、収益モデル、組織設計)
  • 省力化・生産性向上(業務棚卸、標準化、外注化、設備投資の順番)
  • DX・AI(導入ありきにしない要件定義、現場に定着する設計、リスク管理)
  • 人材と賃上げ(賃上げ原資の作り方、評価制度、採用・育成、労務リスク)
  • 経営改善(収益力改善、原価管理、固定費構造、撤退と集中)
  • 政策の読み方(制度の背景、国の狙い、経営判断にどう効くか)
  • 歴史・社会問題(経営に活かす教訓とその中での行動)

補助金は、これらのテーマの延長線上にしか存在しません。だからこのブログでは、制度単体ではなく、経営の文脈に埋め込んで書いていきます。

4.最後に:賛成か反対かではなく、行動のきっかけになれば十分です

私の記事に賛成か反対か、という議論がしたいわけではありません。
このブログを見て、読者それぞれが自社の状況を言語化し、判断し、行動に移る。そのきっかけになれば、それで十分です。

文章は長いかもしれません。ですが、本当に自社を成長させたいと考えている経営者が読んでくれるなら、それで良い。そう考えています。

制度は手段です。主役は、経営者の意思決定と行動です。このブログは、その意思決定を少しでも前に進めるために、責任ある形でコンテンツを残していきます。今後も、必要なときに必要なテーマを、実務の目線で丁寧に書いていきます。


5.初めての方へ まず読んでほしい記事(おすすめ順)

まずは、今回の補正予算シリーズの中でも、全体像をつかみやすいものから並べていますので、気になるものからどうぞ。

  1. 【実務編】補助金申請の前にやるべき「自社スペック」の精密診断。5つの指標で見る、あなたが今選ぶべき生存戦略。(12/17 ブログ)
  2. 令和7年度補正予算を「位置取りの地図」として読む―中小企業が掴むべきチャンスの見つけ方と、今日から始める実務設計(12/18 ブログ)
  3. 【実務編】令和7年度補正予算の高い要件に対応するための具体策 – 中小企業のハードルを生存戦略に変える行動プラン(12/19 ブログ)

6.最後に

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

私は、記事を書くこと自体が目的ではありません。経営者の皆さんが、自社の状況を整理し、意思決定し、次の一手を打つ。そのプロセスの背中を、少しでも押せる材料を残したいと思っています。

経営は、制度や流行に振り回されるものではなく、環境変化の中で「自社として何を選び、何を捨て、どこに賭けるか」を決め続ける営みです。その判断は、ときに孤独で、正解も簡単には見えません。だからこそ私は伴走者として、現場で培った視点と、政策や制度の読み解きを、経営に使える形に翻訳してお届けします。

このシリーズが、皆さんの会社にとって「考えるきっかけ」と「動くきっかけ」になれば幸いです。今後も、じっくりお付き合いいただければ嬉しいです。

ご相談をご希望の方へ
この記事が「考えるきっかけ」や「動くきっかけ」になった一方で、社内だけでは整理しきれない論点が残る場合もあると思います。

必要に応じて、現状整理から意思決定、実行計画まで伴走支援を行っています。ご相談はお問い合わせフォームよりお寄せください。

原則として、設立3年以上(最低2年以上)・従業員10人以上(5人程度から応相談)の事業者様を主な対象としております。(この記事の読者の皆さんも、恐らくこの規模以上の事業所の経営者の方が多いと思われます)

なお、単なる情報収集目的のご相談や当記事への意見、議論・論争等には対応しておりません。真剣今後の自社の経営について考えたい、という方を歓迎しております。

お問い合わせフォーム

社長の背中を後押しする、経営の全体最適を支える実務ブログを始めます

はじめまして。認定支援機関として、中小企業の伴走型支援を行っている、木村壮太郎と申します。

今日からこのブログでは、法人経営者の方に向けて「現場で実際に使える」実務のヒントやノウハウを発信していきます。

先に結論から書くと、このブログの役割はシンプルです。経営は最終的に「やり切れるかどうか」で結果が決まります。どれだけ良い戦略や理念があっても、現場で回らなければ数字は変わりません。このブログは、社長の意思決定を“実装”に落とし込み、動かせる形にすることを目的にします。

一方で、私はnoteでも発信を始めています。noteは、政策や社会、歴史、マクロ経済なども交えながら、経営者が「何を見て、何を決めるべきか」を整理する場所です。

つまり、noteは意思決定のための視座や背景を扱い、ブログは実行のための具体に落とす。両方読むことで、判断と実装がつながり、会社が前に進みやすくなる設計にしています。

なぜ、この2つを分けるのか。理由は、世の中の情報が片寄りやすいからです。制度の解説、トレンドの紹介、あるいは精神論。どれも一部は正しいのですが、経営の現場で必要なのは「それで、明日から何をするのか」です。

私は認定支援機関として、さまざまな会社の現場に入り、計画書を作るだけでなく、体制づくりや資金繰り、KPI、会議体、販路、組織の動かし方まで含めて伴走してきました。そこで痛感するのは、経営者の悩みは抽象ではなく、具体の詰まりとして現れるということです。

例えば、補助金を例に挙げると分かりやすいのですが、補助金そのものは手段に過ぎません。制度内容を正しく理解しても、それだけでは会社は良くなりません。問題は、投資の必然性があるか、やり切れる体制があるか、資金繰りのタイムラグに耐えられるか、売り切る筋があるか、成功をどう測るか。このあたりが曖昧なまま締切前に書類だけ整えてしまうと、採択後に詰まりやすい。だから私は、このブログでは制度の話に偏らず、制度を使うにしても“経営として勝てる形”に整えるための実務を扱います。

扱うテーマは幅広いです。経営戦略、事業計画、実行、資金繰り、マーケティング、組織・人事、そして経営者の思考やマインド。さらに、政策や政治、社会の変化、地域の構造、歴史と経済といった外部環境の話も取り上げます。

ただし、ここで大事にするのは「外部環境の話で終わらせない」ことです。世の中の変化は、放っておけばただの雑談になります。経営として価値が出るのは、それを自社の数字と行動に翻訳できたときです。

例えば、人口動態や採用市場の変化は人件費や稼働率に直結しますし、金利や物価は資金繰りと価格戦略を変えます。政策は補助金だけでなく、規制、税制、金融、産業構造を通じて経営環境を作ります。歴史は過去の出来事ではなく、変化局面で組織がどう意思決定し、何を残し何を捨てたかのケーススタディです。

こうした背景を、社長が使える“実務の言葉”に変換するのが、このブログの役割です。

ブログなので、毎回必ず同じ章立てにする約束はしません。ただ、軸は一貫させます。読む方が「結局、どうすればいいのか」が分かるように、できるだけ具体化して書きます。チェックポイント、作業手順、考える順番、判断基準、典型的な失敗と回避策。社内でそのまま共有できるような形で出していきます。

たとえば、事業計画であれば「誰が責任者か」「会議体はどうするか」「KPIは何にするか」「現場の抵抗をどう潰すか」「資金繰りの谷はいつ来るか」「販路の目処はどこまで立っているか」といった、現場で詰まる論点を扱います。

また、経営者のマインドについても触れます。ただし、根性論や精神論ではありません。意思決定を歪める思い込みや、優先順位を狂わせる情報の取り方、現場の納得を得るコミュニケーション。こうした“思考の癖”は、実行の速度に直結します。社長の判断が軽くなり、社内の実行が前に進む形で整理します。

このブログを読むことで、次のような状態を目指してもらえればと思います。いま抱えている課題を、社長自身が短い言葉で説明できる。次に打つ手を、順番付きで言える。社内に渡すときに「これをやって」と具体の指示にできる。もし外部の支援を使うとしても、丸投げではなく、自社の意思決定として握ったまま進められる。そういう“経営の地力”を上げることが、このブログの狙いです。ぜひお楽しみください。